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柳井イニシアティブは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と東京にある早稲田大学の連携プロジェクトとして2014年に発足して以来、日本文化と日本人文科学研究に、世界中のどこからでも等しく、密につながり合うことのできる未来を持続的に拓くために活動してきました。
人口減少が進む一方の日本で大学が留学生の受け入れ人数を増やすにつれ、日本の過去に関する専門知識を次世代へ手渡していくうえで欠かせない役割を長らく担ってきた人文学プログラムが、ちょっとしたグローバル化の中心地になっています。日本の文学、演劇、映画、美術、ポップカルチャーなどを学びたい学部生たちが世界中から日本各地のキャンパスへやってきますが、日本語で書かれた資料にあたるだけの基礎的な語学力がないことも少なくありません。そこで大学側は、英語での講義を開講することになります。学部が丸ごと新設され、国際社会のいたるところで目につくようになった英語というグローバルな日常言語を使って、繊細かつ教養の薫り高い講義をおこなうことのできる教授陣が揃えられるのです。
柳井イニシアティブは、こうした現状が後々もたらすことになるだろうある種の弊害への懸念と、この状況に秘められたすばらしい可能性をいかしたいという熱い思いから生まれました。日本の研究機関が何世代にもわたって蓄積してきた知識やノウハウの価値が、日本の大学内部で別の価値観によって少しずつ日陰に追いやられるおそれがあるのなら、ファン層を広げてみようではありませんか。比較的せまい仲間内での情報伝達に慣れた研究者たちが、もっと幅広く、多様な研究者や学生と知識を共有し、同時に世界の別の地域で研究の場に飛びこむ機会を創りだせばいい。グローバル化の一つの波に、別の波で立ち向かうのです。
柳井イニシアティブの活動の原動力となっているのは、そんな思いです。発足当初はおもに学術的なプログラムやプロジェクトに力を入れていましたが、次第に文化の研究だけでなく実践のほうにも裾野を広げ、一般の方を対象としたプロジェクトやプログラムも打ち出してきました。
このサイトでは、わたしたちのこれまでの活動や、現在進行中の活動を紹介しています。大規模な学術シンポジウムの主催、大学院生への研究支援、バックグラウンドや活動地域の異なる研究者たちが横のつながりに加えて友情をも育める機会の創出。新しい世代の日本語文芸翻訳家の育成や、文芸翻訳関連の重要プロジェクトへの支援もおこなっています。規模の大小を問わず、文学、舞台芸術、映画、デザイン、音楽、アート、食、建築などに関するイベントを開催し、教育目的のスマホ用アプリやその他のデジタルコンテンツも制作しています。わたしたちは、日本文化研究を世界規模で包摂的かつ公平なものにするために邁進しているのです。
2024
柴崎友香
Shibasaki Tomoka
小説家
2000年に単行本第1作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞、2024年『続きと始まり』で芸術選奨文部科学大臣賞、谷崎潤一郎賞を受賞。他の小説作品に『百年と一日』『待ち遠しい』『千の扉』『公園へ行かないか?火曜日に』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『よう知らんけど日記』『よそ見津々』、岸政彦との共著『大阪』など著書多数。
2023
十重田裕一
Toeda Hirokazu
早稲田大学
東京都生まれ。博士(文学)。大妻女子大学を経て、2003年から早稲田大学教授。コロンビア大学客員教授・客員研究員、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授、スタンフォード大学客員教授などを歴任。自著に『川端康成 孤独を駆ける』(岩波書店、2023年)、『横光利一と近代メディア 震災から占領まで』(岩波書店、2021年)、『岩波茂雄 低く暮らし、高く思ふ』(ミネルヴァ書房、2013年)、共編著に、『〈作者〉とは何か 継承・占有・共同性』(岩波書店、2021年)、Literature among the Ruins, 1945-1955 Postwar Japanese Literary Criticism(Lexington Books, 2018年)、『岩波茂雄文集全3巻』(岩波書店、2017年)、Politics and Literature Debate: Postwar Japanese Criticism 1945-1952(Lexington Books, 2017年)、『占領期雑誌資料大系文学編』全5巻(岩波書店、2009~2010年)など。第26回窪田空穂賞、第30回樋口一葉記念やまなし文学賞研究・評論部門などを受賞。
田中ゆかり
Tanaka Yukari
日本大学
日本大学文理学部グローバル教育研究センター長(初代)、同学部教授。博士(文学)。言語変種の価値とイメージの変遷を、各種の媒体やコンテンツ、言語社会を構成する人々の言語意識などから多角的に探ることに関心をもつ。主な著書に『「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで』(岩波書店、第24回高知出版学術賞)、『方言萌え!? ヴァーチャル方言を読み解く』(岩波書店)、『首都圏における言語動態の研究』(笠間書院)など。
木村朗子
Kimura Saeko
津田塾大学
2022
藤幡正樹
Fujihata Masaki
メディア・アーティスト
世界的に有名な新鋭のメディア・アーティスト。芸術的なメディア媒体として、コンピューターの可能性をいち早く探求し、「インタラクティブな芸術」の先駆者として、1996年の『グローバル・インテリア・プロジェクト』にてアルス・エレクトロニカ・ゴールデン・ニカ賞を受賞するなど、受賞多数。2015年までの詳しい業績は、拡張現実について詳しい書籍「アーカイブ6:藤幡正樹」参照。芸術活動の傍ら、20年にわたり慶応大学にて教鞭をとり、東京芸術大学の映像研究科の設立に貢献した。2019年、UCLAの訪問教授に選ばれ、その後、更に4半期、柳井イニシアティブの招聘にて滞在。滞在中、のちに全米日系博物館(JANM)にて柳井イニシアティブと博物館との共催にて開催されることになるインスタレーション芸術「BeHere/1942」展の制作を開始。
埋忠美沙
Umetada Misa
お茶の水女子大学
お茶の水女子大学准教授。早稲田大学で博士号を取得。専門は江戸と明治の歌舞伎で、特に歌舞伎作者・河竹黙阿弥を中心に研究している。お茶の水女子大学で、伝統芸能を若い世代に広めるためのプロジェクト「Japanese Performing Arts for the Future (JPAF))を運営している。著書に『江戸の黙阿弥 善人を描く』(2020、春風社)。本書で日本演劇学会河竹賞奨励賞および林屋辰三郎藝能史研究奨励賞を受賞。
2020
藤幡正樹
Fujihata Masaki
メディア・アーティスト
世界的に有名な新鋭のメディア・アーティスト。芸術的なメディア媒体として、コンピューターの可能性をいち早く探求し、「インタラクティブな芸術」の先駆者として、1996年の『グローバル・インテリア・プロジェクト』にてアルス・エレクトロニカ・ゴールデン・ニカ賞を受賞するなど、受賞多数。2015年までの詳しい業績は、拡張現実について詳しい書籍「アーカイブ6:藤幡正樹」参照。芸術活動の傍ら、20年にわたり慶応大学にて教鞭をとり、東京芸術大学の映像研究科の設立に貢献した。2019年、UCLAの訪問教授に選ばれ、その後、更に4半期、柳井イニシアティブの招聘にて滞在。滞在中、のちに全米日系博物館(JANM)にて柳井イニシアティブと博物館との共催にて開催されることになるインスタレーション芸術「BeHere/1942」展の制作を開始。
2019
田中ゆかり
Tanaka Yukari
日本大学
日本大学文理学部グローバル教育研究センター長(初代)、同学部教授。博士(文学)。言語変種の価値とイメージの変遷を、各種の媒体やコンテンツ、言語社会を構成する人々の言語意識などから多角的に探ることに関心をもつ。主な著書に『「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで』(岩波書店、第24回高知出版学術賞)、『方言萌え!? ヴァーチャル方言を読み解く』(岩波書店)、『首都圏における言語動態の研究』(笠間書院)など。
十重田裕一
Toeda Hirokazu
早稲田大学
東京都生まれ。博士(文学)。大妻女子大学を経て、2003年から早稲田大学教授。コロンビア大学客員教授・客員研究員、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授、スタンフォード大学客員教授などを歴任。自著に『川端康成 孤独を駆ける』(岩波書店、2023年)、『横光利一と近代メディア 震災から占領まで』(岩波書店、2021年)、『岩波茂雄 低く暮らし、高く思ふ』(ミネルヴァ書房、2013年)、共編著に、『〈作者〉とは何か 継承・占有・共同性』(岩波書店、2021年)、Literature among the Ruins, 1945-1955 Postwar Japanese Literary Criticism(Lexington Books, 2018年)、『岩波茂雄文集全3巻』(岩波書店、2017年)、Politics and Literature Debate: Postwar Japanese Criticism 1945-1952(Lexington Books, 2017年)、『占領期雑誌資料大系文学編』全5巻(岩波書店、2009~2010年)など。第26回窪田空穂賞、第30回樋口一葉記念やまなし文学賞研究・評論部門などを受賞。
2018
河野貴美子
Kōno Kimiko
早稲田大学
2004年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は和漢比較文学、和漢古文献研究。早稲田大学文学学術院専任講師、同准教授を経て、2012年より同教授。主な著書に『日本霊異記と中国の伝承』(勉誠出版、1996年)、『日本「文」学史』全三冊(共編著、勉誠出版、2015~2019年)などがある。UCLAでは、Torquil Duthie准教授と日本の漢文日記のセミナーを共同担当。
2017
柄谷行人
Karatani Kōjin
哲学者・文芸批評家
柄谷行人は現代日本で最も著名で広く読まれている思想家である。多数の著書があり、英語のみならず多言語に翻訳された著書には、『マルクス その可能性の中心』(講談社、1978)、『日本近代文学の起源』(講談社、1980)、『隠喩としての建築』(講談社、1983)、『トランスクリティーク――カントとマルクス』(批評空間、2001)、『世界史の構造』(岩波書店、2010)などがある。最近の著書は、『憲法の無意識』(岩波新書、2016)、『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社、2021)、『力と交換様式』(岩波書店、2022)など。
松家仁之
Matsuie Masashi
小説家
編集者を経て、2012年、長篇小説『火山のふもとで』を発表(読売文学賞受賞)。そのほかの作品に、『沈むフランシス』(2013年)、『優雅なのかどうか、わからない』(2014年)、『光の犬』(2017年、芸術選奨文部科学大臣賞、河合隼雄物語賞受賞)、『泡』(2021年)がある。
2016
古川日出男
Furukawa Hideo
作家
作家。1966年福島県生まれ。1998年、長篇小説『13』でデビュー。『アラビアの夜の種族』『LOVE』『女たち三百人の裏切りの書』といった文学賞受賞作をはじめ、英訳された『ベルカ、吠えないのか?』『馬たちよ、それでも光は無垢で』を含め『南無ロックンロール二十一部経』『ミライミライ』『木木木木木木 おおきな森』『曼陀羅華X』など著作多数。ほかに戯曲やノンフィクション、アニメ化された『平家物語』現代語全訳なども手がけ、多様な文学表現に取り組む。
鳥羽耕史
Toba Kōji
早稲田大学
早稲田大学文学学術院日本語日本文学コース教授。安部公房と同世代の作家たちに焦点を当てた研究から、徐々に1950年代の文化的、政治運動へと幅を広げて研究をおこなっている。現在『高度成長期のマスメディアとサークルの「記録」との相互関係についての研究』と題したプロジェクトを遂行している。MDPI(Multidisciplinary Digital Publishing Institute)Humanitiesのゲスト編集者。現在"Modern Japanese Literature and the Media Industry“の特別号を編集中。
2015
中嶋隆
Nakajima Takashi
早稲田大学名誉教授
元禄期を中心とした江戸時代文芸を研究する。早稲田大学教授。NHK教育テレビ「古典への 招待」で、長く西鶴担当の講師をつとめた。NHK.Eテレ「知恵泉・井原西鶴」、BS歴史館「井原西鶴」等多くのテレビ番組にゲスト出演する。 研究書・注釈書 には『西鶴と元禄メディア』(NHKブックス)、『初期浮世草子の展開』(若草書房)、『西鶴と元禄文芸』(若草書房)、『西鶴「誹諧独吟一日千句」註解(文学通信)など多数。『廓の与右衛門控え帳』(小学館)で、第八回小学館文庫小説賞を受賞し、『はぐれ雀』(小学館)『補陀落ばしり物語』(ぷねうま舎)などの時代小説で評価を得た。
2014
柴田元幸
Shibata Motoyuki
東京大学名誉教授・翻訳家
1954年生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベックなどアメリカ現代作家を中心に翻訳多数。著書に『アメリカン・ナルシス』、訳書にジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』、エリック・マコーマック『雲』など。講談社エッセイ賞、サントリー学芸賞、日本翻訳文化賞、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』日本語版責任編集、英語版編集。
分野・時代・国を越えて日本人文科学の情報をとりまとめ、関係者をつなぎ、研究と教育の発展を促進します。
日本語で書かれた短編小説を作者が朗読し、日本国内外の革新的なアーティストによるアニメーションを組み合わせた新しい短編アニメ映画シリーズです。
イベント会場の音源をディスクカッティング旋盤により、その場でレコードに収録・制作します。
藤幡正樹による展示とパブリック・アート・インスタレーション。
2022年5月7日~2023年1月8日 全米日系人博物館にて開催しました。
2020年以降、柳井イニシアティブでは日本語から英語への翻訳や翻訳者育成など様々な形で取り組んでいます。
35年の時を経て2016年に再始動したポスタープロジェクト。浅葉克己氏と日本グラフィックデザイナー協会の協力のもと、日本を代表するグラフィックデザイナーによる11枚の限定ポスターを制作しました。
2015年に発売され、現在も新たなユーザーを獲得している画期的なアプリ。「変体仮名」の世界初の指導ツール。
エルヴィスの幽玄 - 能が英語になったとき
(ただし日本国内のみの配送となります)出版:柳井イニシアティブ
(ただし日本国内のみの配送となります)共同出版:柳井イニシアティブ、全米日系人博物館